ジェネリック薬品の立ち位置2011/10/02 00:26:17

数年前、風邪で通院・点滴した後、飲み薬を処方された事がある.

当時はジェネリック薬品が注目し始めた頃.

試しにジェネリックにしてみようと思い、窓口で聞いてみたところ

事務手数料が発生することと

薬価がそれほど変わらないため、金額的に大差ないと言われた.

結局その時は通常薬だった.


1ヶ月ほど前、ジェネリック薬品のお知らせが

健康保険組合から送付された.

数ヶ月前に処方された薬のジェネリック薬品対応表と金額差異が記載されていた.

2種類あり、一番薬価が安いジェネリックで通常薬の三分の一.

もうひとつも薬価は半額.

今回も同様の投薬が予想されるため、郵便物を持って病院へ.



診察が終わって、予想通り同じ投薬処方だったため

医師にジェネリック薬品を進言し、何てことなく了承.


ところが話はこれで終わらなかった.



普段はこの後会計に行って終わりなのだが

今回はジェネリック薬品の対応をチェックするため別の窓口へ.


しばらくして返答があり

開口一番に言われたのが「今回の投薬に対するジェネリックは無い」

ここで初めて、健康保険組合からの対応表を見せる.

数分後「記載のジェネリック薬品は近隣の保険調剤薬局には無いと思われる」

一般的な病院の周囲には、保険調剤薬局が数軒はある.

この病院の周囲にも2件あるのだが

建屋にジェネリック取り扱いを謳っているのはS薬局.

もう一つあるN薬局でもジェネリックは扱っているが、要は看板を掲げていない.

ただし薬局内部にはジェネリックの掲示はある.

余談だか病院内部にもジェネリック対応の掲示はある.



今回の処方は通常薬で、という話になり

会計を済ませ、薬局に向かうべく病院を出た.



何か釈然としない.



普段はN薬局へ行くのだが、ジェネリック対応の看板を出しているS薬局へ行き

ジェネリックの在庫を聞く事にした.

S薬局では、健保指示の2種類の在庫は無いため取り寄せになるという.

ここでふと疑問が浮かぶ.

この2種類の他にジェネリックはあるのか、という疑問.

聞いたところすぐに調べてくれ、6種類のジェネリック薬品名が判明した.

在庫があるのは健保指示の2種類では無くA薬.

ただし、処方箋記載量は錠剤25mgだがA薬は錠剤50mgであり

製品としてA薬の錠剤25mgは存在しない.


とりあえず薬品名は分かった.

その足でN薬局へ.

こちらにもA薬の在庫はあった.

当然錠剤50mgだが、自分で割って服用する事も問題無いと言われ

しかも今までも病院からの処方が多々あるという.

つまり処方の実績はあって

要は50mgの錠剤を2つに割って服用すれば、何の問題も無いのだ.

疑問を解消すべく病院へ戻った.



ジェネリック担当窓口へ行き

薬局に在庫があるから処方箋の書換を依頼した.

数分待って、さきほど「無い」と言った担当者が出てきた.

A薬には50mgしかなく、医師からの指示が25mgの記載だったので

対応するジェネリックは「無い」と言ったという.

そして健保の資料については、こちらは薬局に在庫が無いと思われるので

こちらも「無い」と言ったという.


割って服用する事に対して、薬局で問題無い事を話したところ

処方箋に対して薬品を提供するのは薬局であり

そこは患者と薬局の間で決めて欲しいと言われた.

なので、今回は通常薬として記載した、ということ.

処方箋はジェネリックがある場合は

ジェネリック薬品名を記載するということだ.


大いなる矛盾である.


まずこの担当者はA薬50mgの存在を知っており

当然錠剤を割って服用できる事も知っている.

その上で、ジェネリックがあっても25mgじゃないから「無い」と言い

割る事に関して薬局との間で決めてくれと返答したのだ.


つまり条件付ではあるが「ある」のに「無い」と言った.



一番最初の問い合わせの時に



錠剤50mgのジェネリックがあるが

半分に割るなどして服用する必要がある

このため自分で半分ずつ服用するか

薬局で割る事が出来るかどうか確認して欲しい



と言えば済む話だったのだ.




命に関わる医療だから一辺倒な仕事しか出来ない、しない、という理屈は

分からないでもない.

だが、命に関わるからこそ

臨機応変の対応が求められるのではないのか.

臨機応変に出来るか出来ないかは

それこそ高度技術・知識を持った医師や薬剤師が判断すべきことで

患者が介入してはいけない.

今回のA薬に限って言えば

定量半分が服用量だから割って飲めばいいくらい

素人でも考えつくし、高度知識は必要ない.



今回の一番の問題は、患者に必要な情報を一切開示せず

しかもその行為が、虚偽の上に成り立っていた事だ.



結局、S薬局でA錠剤50mgを半分にしてもらい

半月状のA錠剤が入った散剤用袋の束が手元にある.




どうも病院がジェネリック薬品を嫌避けるために

意図的に情情報操作をした、という感じがして仕方がない.

コメント

_ 釈千手と申します ― 2011/10/02 01:46:59

私は3年間心臓病の薬を飲んでいます。薬局は複数使っていますが、ジェネリックを積極的に勧めるところ、知識が豊富なところと、そうでないところがありますね。
一般的に医師は後発薬には消極的な人が多いと感じます。薬の信頼度と製薬メーカーとの関係からでしょうか?

_ WaterField ― 2011/10/02 11:44:03


釈千手様、コメントありがとうございます.治療大変ご苦労様です.

今回の場合、医師は患者の意思を受け入れ、ほぼ快諾状態で許可を出しています.

ジェネリックはオリジナルと100%同じではありませんが

服用して良い場合と、ダメな場合は当然あり

越えていい線とそうでない線、そこを判断するのが医師の仕事であるはずです.

快諾したという事は、ジェネリックに起因する副作用もまず考えられないためであることは想像に難しくありません.

今回は医師ではなく病院事務部門の堕落であり

医療行為とかけ離れた別世界の影響だと思います.

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