WaterField For You(春9000)

今でこそ品質も向上し、なめらかな口当たりのバタークリームですが

1970～80年代のそれといったら

現代で言うところのカルピスバターや発酵バターといった

少々値の張るちょっとお高いバターに

グラニュー糖入れてホイップしただけの

日持ちしまっせ、的な味だったのです．

とはいえ日持ちすれど乾燥不可避．


WaterField の家は元々菓子製造業で

複数の小売店、いわゆる得意先に直接商品を卸す業態でした．

そのため、クリスマスシーズンになると

大人の事情で、卸す店舗の先々で家庭向けホールケーキを購入．

しかも見栄張って６号サイズ．

多いときには４つ購入するとか

世が世なら○○ハラと言われるような

そんな時代だったのです．


で、泥を被るのはいつも現場．


想像してみましょう．

クリスマス・イブ、食卓にホールケーキが４つ山積み．

全てバタークリーム（しかもえらく不味い）．

聖なる夜も、翌日の朝も、昼も、夜も、明後日の朝も．

乾燥したスポンジ生地とボソボソのバタークリーム．

世間様のクリスマスケーキってのは、こんなに不味いのか、と

子供心に地味に絶望したものです．

当時も生クリームのクリスマスケーキは販売してましたが

値段とボリュームと日持ち加減でバタークリームに敵わず

我が家は生クリーム版が買えなかったのです．



そんなわけでケーキが好きな WaterField ですが

あまりクリスマスケーキに思い入れはありません．

ＴＶＣＭなどでクリスマスケーキを見ると

セピア色の映像と

毎年クリスマス明けから正月までの数日間に訪れた

あのどんよりした空気を思い出します．


でも、ケーキに罪はありません．


食べきれないたくさんのケーキを買ってくる私らが悪いんであって

ケーキは悪くありませんから．



写真はレギュラーメニューのショートケーキ

（５号ホール）（生クリーム）（えらく美味しい）です．